今回の豆知識は、土踏まずの『トラス機構』と『ウィンドラス機構』について。
「ウインドラス機構」と「トラス機構」は、どちらも足の土踏まず(アーチ)の機能に関係する大事な概念ですが、働き方や役割りが少し異なります。中敷き研究家が、くわしく! しかも分かりやすく解説しますね。
トラス機構とは
まず、「トラス機構」って言葉なんですが、
もとは、建築用語なんですよね。
足のアーチが建築の三角形(トラス)に似ているんで、キャンプで使うテントに見立て、アーチがトラス構造になっているといわれているんですね。
ちなみに、一般の家屋構造は、4本の柱からなるラーメン構造が基本です(下図)。

「トラス機構」は、足を地面に着いた時に、足底の膜が引っ張られることで、アーチがつぶれないような構造になっています。
トラス構造になっていることで、立った時にアーチがグニャっとつぶれないように、大事な働きがあるんですね。
ウインドラス機構とは
次に、「ウインドラス機構」について。
「ウインドラス機構(英語:Windlass Mechanism)」っていうのは、足の指を背屈すると、足底の膜を引っ張っぱって、足のアーチが自然と高くなる仕組みのこと。ウインドラスの巻き上げ現象ともいわれています。

自分の足の指をグゥーッと背屈させると、アーチが持ち上がることが分かるはず!
やってみたら分かるので、ぜひ、やってみて。
ちなみに、この足底の膜のことを「足底腱膜(そくていけんまく)」といいます。
かかとから、足趾のつけ根まで扇状に広がっている固いコラーゲン繊維の膜のことです。

「ウィンドラス機構」は、歩く時に足の指から踵までの足裏の膜が引っ張られることで、身体を効率的に前進させる役割りもあります。
なので、歩行がスムーズになるんですね。
歩く時のウインドラス現象の仕組み(剛性を高める)

- 足の指が背屈(そる)すると足底腱膜が引き伸ばされる
- 歩くとき、地面を蹴り出す(蹴り足の)瞬間に、つま先が反る(背屈する)動きが起こります。
- すると、かかとから指の付け根(中足骨頭)にかけて張っている「足底腱膜」が引っ張られます。
- 足のアーチが持ち上がる(高くなる)
- 足底腱膜が引っ張られることで、土踏まず(内側縦アーチ)が引き締まり、アーチが高くなります。
- これにより、足全体の剛性が高まり(硬く強くなるってこと)、効率よく地面を蹴り出せる状態になります。
🏗️ トラス機構(Truss Mechanism)のまとめ
👉 「土踏まずのアーチが体重を支えるための静的構造」
- アーチ構造の三角形(トラス)に似ていて
→ かかと・中足骨頭(指の付け根)・足底腱膜が三角構造を形成
→ 上からの体重を効率的に分散し、アーチが潰れないように支える
🦶イメージ:橋や建物のトラス構造のように、アーチが「しなりながら支えている」
✅ 特徴
- 静的なメカニズム(体重をかけたときに働く)
- 歩行時の「着地や体重支持の安定化」に関与
- 主に立位や歩行の接地時に活躍
🌀 ウインドラス機構(Windlass Mechanism)のまとめ
👉 「足指の動き(特に母趾=親指)がアーチを強く引き上げるメカニズム」
- 歩行の蹴り出し時に、母趾(親指)が背屈(上に反る)すると
→ 足底腱膜(そくていけんまく)が巻き上げられ
→ アーチが引き上げられて、足が硬くなり推進力が生まれる
🦶イメージ:つま先を反らせると、足裏の腱がピンと張ってアーチがギュッと引き締まる
✅ 特徴
- 動的なメカニズム(動きの中で働く)
- 歩行・走行時の「蹴り出し力の強化」に関与
- 足底腱膜が「巻き上げられる」=ウインドラス(巻き上げ機)に由来
✅ ウインドラス機構:歩行への影響
✅ 蹴り出しの力を高める
- アーチが高くなることで、足が硬くなり、地面をしっかり押すことができます。
- これにより、効率よく前へ進むことができ、歩行やランニングがスムーズになります。
✅ エネルギー効率の向上
- ウインドラス現象が正常に働くことで、足底腱膜が「バネ」のような役割を果たします。
- これにより、次の一歩への推進力が生まれ、余分なエネルギーを使わずに歩くことができます。
✅ 足の安定性が向上
- アーチがしっかり機能することで、足の安定性が高まり、バランスが良くなります。
- 逆にウインドラス現象がうまく機能しないと、偏平足や足の疲労、膝や腰への負担が増えることがあります。
🔍 比較表
機構名 | 働く場面 | 主な役割 | メインの構造・要素 | 特徴的な働き方 |
---|---|---|---|---|
ウインドラス機構 | 歩行の蹴り出し時 | 推進力を高める | 母趾・足底腱膜 | 指を反らす→腱が巻き上がる→アーチが引き締まる |
トラス機構 | 立位・歩行時の接地 | 体重を支える | かかと・中足骨・足底腱膜 | 体重を分散→アーチが潰れず安定する |
✅ どちらも大切!
- トラス機構は「着地〜体重支持」の安定を支え、
- ウインドラス機構は「蹴り出し時」の推進を支えます。
つまり、歩行全体をスムーズにするには、両方の機能が正常に働くことが大切なんです!
ウインドラス現象が機能しないとどうなる?

- 偏平足(アーチが低い)の場合、足底腱膜が十分に引っ張られず、アーチがうまく持ち上がりません。
- その結果、足が柔らかいままになり、地面を蹴る力が弱くなり、疲れやすくなります。
- また、膝や腰に負担がかかりやすくなり、痛みの原因になることもあります。
まとめ
✅ トラス機構は、上からの体重を効率的に分散し、アーチが潰れないように支える
✅ ウインドラス現象は、足のアーチを高め、歩行をスムーズにするメカニズム
✅ 足の指が反ることで足底腱膜が引き伸ばされ、アーチが高くなる
✅ これにより、歩行の推進力UP・エネルギー効率向上・足の安定性向上につながる
✅ ウインドラス現象が機能しないと、偏平足・疲労・膝や腰への負担増が起こる
このように、「トラス機構」と「ウインドラス機構」は、どちらも足のアーチを維持するとても大事な役割りをもっています。
【補足】ウインドラス現象を意識した足のケア(足指のストレッチやトレーニング)をすると、歩行の質が向上し、疲れにくい足を作ることができますよ!
土踏まず、3つのアーチをくわしく解説しました↓↓↓
